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zoom RSS 言葉を作る話。の話。

<<   作成日時 : 2012/03/13 19:25   >>

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【注意】今回は非常に堅苦しい文体で書いていますが、パロディ半分、本気半分のためです。

「萌え」という言葉が浸透してずいぶん立つ。

うおー!と興奮する「燃え(る)」の方向性があらぬ方向に特化し、そっち方面の感受性が「萌芽」した瞬間を同音異義語「萌え(る)」で捉えた名作と言える。(「あらぬ方向」がどっちの方向で、「そっち方面」がどっち方面かは察してください。)

名作と呼びうる造語に出会い、「うまいこと言ったね」と感心したあとは自分もうまいこと言って感心されたいのが人情だ。自分で作ってみるというのも一つの手だけど、そうそう思いつくもんじゃない。「誰かがうまいこと言ったやつ」を別の誰かにそのまま使うのが手っ取り早い。

かくして造語は拡散され、広まってゆく。現象としてはtwitterで誰かのつぶやきが拡散して行くさまと似てるんじゃないかなと思う。

ところで、大学時代の友人あきふゆ氏が作った「創萌力(そうほうりょく)」という言葉がある。まだ最近出来たばかりで広まるかどうかは未知数だ。(用例も挙げてくれているので以下のサイト参照。)

http://d.hatena.ne.jp/akfy/20120228/1330441333

簡単な辞書的意味を記述してみると、

「『萌え』ることのできるシチュエーションを想像(妄想)できる力」

といったところだろうか。例えば、「萌え」自体ピンと来ないヒトは創萌力ほぼゼロ。誰もが「それは萌えるね」というシチュエーションでしか萌えられないヒトは創萌力貧困。「男子大学生が二人でコスプレバーにやってきた」(上記URLの用例参照。一緒に行ったのは僕ではなく別の友人です)という姿を見ただけで二人の目眩(めくるめ)く愛憎劇を妄想し、あまつさえあんなことやこんなこ…(中略)…というヒトは創萌力豊かということになろうかと思う。

作者のあきふゆ氏も述べているように「妄想力」(これも造語ですが、結構浸透してますね)の一種なのだけど、「燃え→萌え」のように意味範囲が限定されている点で正統派の造語と言える。正統派の造語ということは、日本語話者に受け入れられやすい素地を持っているということだ。他にも長所はあるが、あきふゆ氏自身が語っているので割愛する。

この語は、果たして広まるだろうか。(以下、延々と無駄に真剣に検討します。)

ある語が作られる際には、それに先だって「それを言葉で表したい」という需要や欲求があるのが一般的だ。外国から新しいものがやって来たら、それを日本で呼ぶ際の名前が必要だし、新製品にも名前が必要だ。仲間内だけで通じる言葉が欲しいから業界用語や隠語、若者言葉が作られるし、既存の言葉では表せない気持ちを表したいときにも新しい言葉が生まれる。

たまに既存の言葉を知らないせいで作られるコトもあって、そういうのは若い世代がやりがちだ。知っているヒトから見たら「モノを知らないやつが妙な言葉を使いおって。日本語にはそういうときには『○○』という適切な言葉があるのぢゃ。うつけものめ」ということになる。

したがって、親愛なるあきふゆ氏の造語「創萌力」(もう僕のパソコンは覚えてしまいましたが)がめでたく広まるためには、手っ取り早く何かの「お祭り」で使われるコトでメジャー化するというような場合を除けば、近い時期に現れた類義語が鍵を握る。

とりあえず僕が思いついた類義語は、「萌えぢから」だ。以下に検索結果を示す。

「もえぢから」の検索結果

元々僕が知っていた単語ではなく思いつきで検索したのだが、用例はすでにあった。googleの検索結果を見た限りでは、用法はかなり似ている。ただ、「萌え絵」を描く画力のことも指すようだから、今のところ「萌え力」の方が少し意味が広い。

語構成から見ると(字面から見ると)「創萌力」も画力のことを表せそうなので、将来性という点でも類似していると言って良いだろう。

そこで、「創萌力」浸透のためには、「萌えぢから」を超える訴求力が必要となる。

創萌力は、漢語を利用して作られた和製漢語であり、奈良時代(あるいはそれ以前)からの日本の伝統的な造語法が用いられている。

ただし、和製漢語は日本に急激に西洋の文物が入ってきた幕末から明治にかけて大量に作られ、急激にその数を増したものでもあり、その意味では近代以降のイメージも併せ持つ語種だ。しかし、近代的なイメージはカタカナ語にその地位を奪われつつあるため、漢文などが持つ「堅苦しい」イメージが強い。

成功例である「妄想力」はすでに浸透している「妄想」という熟語を利用しているが、創萌力における「創」と「萌」の結びつきは薄い。

一方の「萌えぢから」は既存の和語による複合語である。「萌え」も「ちから」も語そのものは奈良時代からある。

また、以前、受験生向けの「萌える」英単語集『もえたん』がヒットした。単語の「単」は漢語だが、あえてひらがなを選んでいる。この書名からもわかるように、一般に「ひらがな」はその曲線的な造形や女性と縁の深い文字であるいう歴史もあって、「萌え」と相性が良い。

つまり、現状では「萌えぢから」の方が「萌え」の概念との親和性が高いのである。したがって、現時点では「創萌力」の旗色は悪いと言わざるを得ない。

しかし、可能性がないわけではない。漢語である強みとして、堅苦しい文体には非常に似つかわしいという点が挙げられる。僕が今まさに書いているこの文章のような文体には、「萌えぢから」は柔らかすぎる。しかし、「創萌力」ならば違和感はない。「創萌力」は評論の場面においてこそその存在感を発揮しうると言えるだろう。

また、動画投稿サイトやtwitter等で叫び声のように発せられる文字列として見た場合、漢語はその情報量の多さとミスマッチから、一定の訴求力が期待できる。一般には短いコメントや単語、記号などが並ぶのがそういった媒体の常だが、「叫び声」として漢語(しかも3文字)というのは異端であるからだ。異端はインパクトに繋がる。

以上より、意図的に浸透を図るのであれば、評論的な文章における発信と感動の発露としての使用(「とてつもない創萌力だ」「なんという創萌力!!」「その創萌力を見習いたい」等)に活路を見出すべきであると考える。

【再び注意】この文章は非常に堅苦しい文体で書いていますが、論文的文体でくだらないことを真剣に考察してみるという試みですので、あしからずご了承ください。

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続・言葉を作る話。の話。
前回に引き続き、造語「創萌力」定着への道を探ってみたい。 ...続きを見る
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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しております。
小生昨年名古屋のアパートを引き払い鈴鹿の実家に戻っております。
相変わらず定職にもつかずにぶらぶらやっております。
さておき、相変わらずの洞察力分析力にハタと膝を打った次第。
「萌え」という柔らかい言葉をお固いイメージを伴う漢語風の単語にしてしまうのはその柔らかさを損なう虞がある点に指摘されて気づきました。
言葉の魔術師になるにはまだまだ時間がかかりそうです。
あきふゆ
2012/03/13 20:24
二人の男子学生が実は、takosanと、あきふゆ氏で、その関係を、愛らしく着飾った女の子が、腐萌力を使って創造していたの?
あきふゆ氏は、元彼?
御殿場海賊団
2012/03/13 21:22
◆あきふゆ氏
コメントありがとうございます。

漢語による新語は、妄想力の他にも女子力とか腐女子とか鈍感力とか、最近もどんどん生産されていますので、漢語であること自体は問題ないと思います。ただ、いずれも、既存の熟語を利用している点で意味が伝わりやすいものとなっています。

創萌力はその点で異端なので、「難しい単語か?!」と警戒させてしまう恐れがあります。そのハードルを越えられるかどうかが肝要かと。

しかし、言葉の魔術師として日本語に新機軸を打ち出して行こうとすることと、一般的な造語法によらない「異端」であることは矛盾しないどころか、武器にもなるように思います。要は使用場面が重要と言いますか。

というわけで、そこんところ、後日続編を書こうと思います。

◆kazukun
すばらしい創萌力ですね。

もう一人の男子大学生というのは僕ではなく、kazukunもご存じのはずの「あの人」です。
takosan
2012/03/14 17:44

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